醜さ

にしなの「ケダモノのフレンズ」という歌にこういう歌詞がある 醜さが愛しさを抱きしめているならクライクライ夜は照らさない魔法が欲しい優しくなれるように (作詞・作曲:にしな) www.youtube.com このフレーズが随分と長い間、頭の中に流れ続けている。 …

イッセー尾形「管理人」

社会の内側に‘’存在し続けている‘’不条理に光を当てた不条理演劇。20世紀後半を代表する不条理演劇の大家と言われる、イギリスの劇作家ハロルド・ピンターの作品「管理人」がイッセー尾形らによって演じられた。 イッセー尾形木村達也入野自由ハロルド・ピン…

新日本フィルのベートーヴェン、読響のマーラー。

新日本フィルハーモニー交響楽団が設立50周年ということで、おめでとうございます。その長い歴史のうち、たかだか10年くらいの定期会員ということでまだまだひよっこです。 中でも、15年ほど前に聞いたクリスティアン・アルミンク指揮のワーグナー「ローエン…

アンサンブル・アンテルコンタンポラン/二人静〜大地の歌

サントリーホール・サマーフェスティバル2021アンサンブル・アンテルコンタンポランがひらく東洋ー西洋のスパーク ●細川俊夫 オペラ「二人静」~海から来た少女~ 平田オリザ作、能「二人静」に基づく ソプラノ:シェシュティン・アヴェモ 能声楽:青木涼子 …

NHK交響楽団 MUSIC TOMORROW 2021

コロナ禍の中、クラシックも「配信コンサート」が増えたわけだが、それでも配信では分からない、ホールでしか体験できない「音の響き」を堪能できるコンサートというものはある。その代表例のようなコンサートであった。この時代にあって「生で演奏を聴くと…

日本酒のこと

1.糖とアルコール 2.酸 3.吟醸 4.なんてそんな簡単な話ではない 5.酒の順序 参考文献 なんやかんや書いてみましたが、まぁ、酒飲んで「うまい」ってひと言が出れば、それ以上の正解は無いんですよ、っていう結論を最初に書いておく。 言はむすべ …

有安杏果、サクライブ

グスタフ・マーラーの交響曲第3番。 曲は2つの部、6つの楽章から成り、それぞれの楽章には表題が次のようについている。 第一楽章 パン神(牧神)は目覚める、夏が行進してくる第二楽章 野の花たちが私に語ること第三楽章 森の動物たちが私に語ること第四…

アンリ・ルソー

東京国立近代美術館でピーター・ドイグ(1959-)の個展を見た。 美しかった。 原色が強く見えるところもあれば、それは淡い風景のようにも感じられ、また実際にありそうな風景でありながらどこでもない風景のようでもある。幻想と現実感の狭間の繊細なバラン…

サントリー・サマーフェスティバル2020/オーケストラ・スペース

サントリーホール・サマーフェスティバル2020 ザ・プロデューサー・シリーズ一柳慧がひらく~2020東京アヴァンギャルド宣言オーケストラ・スペース DAY1・高橋悠治「鳥も使いか」・山根明季子「アーケード」・山本和智「ヴァーチャリティー平原第2部-浮かび…

『クラング-1日の24時間』より13時間目「宇宙の脈動」/シュトックハウゼン

サントリー芸術財団主催サントリーホール・サマーフェスティバル2020「おかわり」シュトックハウゼン カールハインツ・シュトックハウゼン『クラング-1日の24時間』より13時間目「宇宙の脈動」(電子音楽のための) エレクトロニクス:有馬純寿 「4機のヘリ…

武満徹「波の盆」/アンサンブル・ノマド

1983年に制作され、倉本聰が脚本を担った、「波の盆」という日本テレビ系のドラマがある。太平洋戦争当時のハワイ。日本を祖国に持ちながらも祖国を裏切り米軍に協力した日系移民と、引き裂かれた日本に暮らす家族、それぞれの思いを綴った物語である。ドラ…

「リトゥン・オン・スキン」、「トゥーランドット」

■サントリー芸術財団50周年記念 サントリーホール・サマーフェスティバル2019 ジョージ・ベンジャミン作 オペラ「リトゥン・オン・スキン」 George Benjamin "Written on skin"(日本初演) 大野和士・指揮 東京都交響楽団 ストーリーはこうだ。 権力を持ち…

父は音楽の先生で、大学で名誉教授にまでなった人だった。 専門は作曲で東京藝大の出身だが、楽理(音楽理論)の先生でもあり、ピアノの先生でもあった。 「いつも楽しそうにピアノを弾く先生で、レッスンが楽しかった」「魔法のように素敵なメロディーが生…

雑記 - 有安杏果のこと。

我々の思想には、具体と抽象の間に無数の段階を持っている。ある具体の層で問題が発生すれば、そこから本質と類推されるものを抽出し雑多な周辺事象を排除した一段階上の抽象の層へ上がり、そして問題を考え対応を考え、そしてまた具体の層へと降りてゆく。…

茶碗の中の宇宙

茶碗の中の宇宙茶碗の中の宇宙〜楽家一子相伝の芸術東京国立近代美術館あぁ、陰翳礼讃の文化は今ここで終わったのだな。と、なんだかそう感じた。いや、そもそも谷崎潤一郎は随筆「陰翳礼讃」の中で、電気というものの普及によって消えゆく美の姿を惜しみ、…

私立恵比寿中学

アイドルグループは大体、他のアイドルグループと比較される。「あっちはあぁだけど、こっちはこうだよね」みたいな。売れてる売れてないや、規模の大小、メジャーデビューしているしていないに関わらず。 本格的に「その人のファン」「そのグループのファン…

伶楽舎/武満徹「秋庭歌一具」

2016/11/30 伶楽舎第十三回雅楽演奏会 芝祐靖「露台乱舞」武満徹「秋庭歌一具」 ダンス 勅使河原三郎 紀尾井だったり初台だったり、過去何回か雅楽を見に来ているのだが、東京楽所と伶楽舎の違いなのか、「あれ?雅楽ってこんな感じだっけ?」とふと思う。い…

ピーターラビット展〜ビアトリクス・ポター生誕150周年

@Bunkamura ザ・ミュージアム 北イングランドは湖水地方の、雄大だけど静かでのどかな大自然と田舎暮らしの中にあって、その畑や森で暮らすウサギやリス、ネズミたちの小さな冒険の世界。 展覧会の中でその物語の1つ1つが丁寧に説明されていたこともあって…

単独者たちの王国〜めぐりあう響き

サントリー芸術財団サマーフェスティバル2016 ザ・プロデューサー・シリーズ 佐藤紀雄がひらく〈単独者たちの王国〉〜めぐりあう響き ・クロード・ヴィヴィエ「ジパング」・マイケル・トーキー「アジャスタブル・レンチ」・武満徹「群島S.」・リュック・フェ…

武満徹「ジェモー(双子座)」

サントリーホール30周年記念 タン・ドゥン指揮 三ツ橋敬子指揮東京フィルハーモニー交響楽団 武満徹「ジェモー(双子座)」 タン・ドゥン「オーケストラル・シアターII:Re」 武満徹「ウォーター・ドリーミング」 タン・ドゥン「3つの音符の交響詩」 何故この…

ももいろクローバーZ「桃神祭2016〜鬼ヶ島」

「鬼は日常生活の中にも居ます。会社の上司や、学校の先生、お父さんやお母さん。でも、みんな自分を良い方向に導こうとしてくれる存在でもある。」 ももいろクローバーZ(以下、ももクロ)の高城れにちゃんは、夏ライブ「桃神祭2016〜鬼ヶ島」2日目のラスト…

黛敏郎 「涅槃交響曲」

ゴーダマ・シッタルダ、あるいはブッダ、はたまた釈迦。 仏教の祖である彼が生まれたのは紀元前5世紀頃のインドであるが、それを遙かに2000年ほど遡ること紀元前25世紀頃、インダス川流域には巨大な文明があった。しかしこのインダス文明における宗教観は文…

夢の劇 ー A Dream Play

@KAAT神奈川芸術劇場(以下ネタバレを含みますのでご注意のほど。)どのように理解したらいいのか、実は見終わってなお良く分かっていない。キリスト教音楽の中には受難曲というものがある。すなわち、キリストが死刑宣告を受けてゴルゴダの丘で十字架に磔に…

新日本フィル、ブリテン「戦争レクイエム」

ダニエル・ハーディング指揮新日本フィルハーモニー交響楽団すみだトリフォニー定期ベンジャミン・ブリテン「戦争レクイエム」「私は罪ある者として嘆き、罪を恥じて顔が赫らむ乞い願う者を憐れみたまえ、神よ。」私は新日本フィルに讃辞を送りたい。彼らの…

ハンヌ・リントゥ指揮、フィンランド放送交響楽団

シベリウス・交響詩「フィンランディア」・ヴァイオリン協奏曲(Vn:諏訪内晶子)・交響曲第2番・(アンコール)組曲「ベルシャザール王の饗宴」より「ノクターン」・(アンコール)組曲「レミンカイネン」より「レミンカイネンの帰郷」描き方によって、音楽…

スウェーデン放送合唱団×都響、モツレク

舞台の上で音は生まれ、そして、そこで永遠に失われる。たとえ録音していたとしても、ホールいっぱいに響いた音は、二度とそこには戻ってこない。スウェーデン放送合唱団東京都交響楽団ペーター・ダイクストラ指揮リゲティ:ルクス・エテルナシェーンベルク…

東京藝術大学美術館「うらめしや〜冥土のみやげ」

芸大美術館の幽霊画展、なかなかのボリューム。入ってすぐは三遊亭円朝関連作品が並んでたりして「こんなもんか」と思ってたら、、まず歌川広重の「瞽女(ごぜ)の幽霊」で恐怖のどん底に突き落とされる。その後も幽霊画が続き、かの有名な円山応挙の幽霊画…

ヘレン・シャルフベック

ヘレン・シャルフベック。19世紀末〜20世紀に活躍したフィンランドの女性画家。印象派のようでもあり、象徴主義のようでもあり、ラファエル前派のようでもエコール・ド・パリのようでもキュビスムのようでもフォービスムのようでもある。 ストラヴィンスキー…

シュトックハウゼン「シュティムング」

大変に美しい。そして、たったの6人のヴォーカリストで奏でられている小ホールでの演奏であったが、それはそんじょそこらのオーケストラ作品を遥かに凌ぐほどの、壮大なスケールの音楽であった。倍音というのは音波の物理的構造に由来するものであるわけだか…

ツィンマーマン「ある若き詩人のためのレクイエム」

サントリー芸術財団サマーフェスティバル2015、2日目。B.A.ツィンマーマン「ある若き詩人のためのレクイエム」〜ナレーター、ソプラノおよびバス独唱、3部の合唱、オーケストラ、ジャズ・コンボ、オルガン、電子音響のための、テクスト、様々な詩人、ラジオ…